スタジオアルテの猫監督　ちびこの部屋

ちび監督の呼ぶ声がして、目が覚めた。
いやな感じがした。
何かして欲しいときの声で、特別にかわいい声だった。
ここまでとびきりかわいい声を私は初めて聞いた。
なにか良くない。胸の中がざわざわして、
どうしようもなくなりました。

ちび監督はストーブの前で、甘えてくるけれど、
口から泡をふいている。
そして急に喉をごくっとして、走って外に出て行ってしまった。

プライドの高い監督です。吐くのを見られたくないのか、
吐くときは外にでていくようです。人から見えないところへ。
普段吐くときは別に隠れたりしないのに。

あわててついて行くのですが見えないところ、
人間の入れないところや見えないところに
入ってしまいます。
静かにしていると、ちび監督が吐く声が聞こえた。

屋内では高さ１５０ｃｍくらいのところに飛んだり、
飛び降りたり、ぱっと見元気がないわけではないけれど
明らかに状態が悪いとようやく判断、
スタジオアルテのメンバーと病院に連れて行くことに。

しかし、なかなか屋根から下りてこない・・・
ベランダの柵があるので、屋根に上られると
片足の悪い私が猫を抱きながら
屋根の上を歩かなければならないことになり
非常に危険なので病院に連れて行く準備をしながら
部屋に入ってくるのを待った。

1時間待ってようやく屋内に入ってくれたものの、
なかなかキャリーに入ってくれない。
早く病院に連れて行かないと、と思い
何でもいいや、とダンボールにちび監督の好きな枕を入れて
5分ほど静かにしておいたら自分で入ってくれたので、
その上にフリースのジャンバーをかけて運びました。

スタジオアルテのTさんが車を借りてきてくれ、
ちび監督といざ、病院へ。
車の中で大きな声で泣叫ぶ。
車なんて乗るの、避妊手術の時だけだったのですから
いろんな音がして、怖かったね。

だけど、私はそんなに大きな声出したら、
消耗するだろうと思い
箱から飛び出してしまったらパニックになるとも思い
箱にかぶせたフリースを押さえながら
背中や頭をなでて話しかけました。
もちろんその程度でちび監督が納得するわけもなく
病院に着くまでの間、必死でした。

信号待ちで車が止まると
鳴きやみますが、それもつかの間。

病院に着くまでの間、ちび監督の状態が気が気ではなく・・・
猫が泡をふいているところなんて見たこともなく
どうしよう・・・と半分泣きながら。
時間が経つのがすごく長く感じました。